電気学会における継続教育事業の第1ステップ実施

1.承認事項
 電気学会における技術者継続教育(CPD)事業の第1ステップとして、電気学会主体で実施する教育機会への参加者の受講証明サービスを開始すること。

*受講証明サービスの内容:
  1. CPDの教育機会ごとに取得単位を定めた「電気学会CPD単位表」を制定し公開
  2. 受講記録用紙を電気学会ホームページで提供(無償)
  3. 受講証明を教育実施の会場で、各自が記入した受講内容に対し、証明印またはサイン(講座実施者等)を付与する形で実施(無償)
*開始時期:平成15年6月1日
2.状況
 科学技術基本計画(平成8年7月閣議決定)の中で、わが国の技術革新を担う高い専門能力を有する技術者が、国際競争力強化を図るうえで重要な役割を果たすべきことが述べられ、そのために技術者の質を社会的に認証するシステムを整備するとの方針が提示された。具体的には@技術者教育への外部認証制度の導入、A技術者資格制度の普及拡大と活用促進(国際的な相互承認の具体化を含む)、B継続的な教育に取り組むことになった。

 これを受けて、日本技術者教育認定機構(JABEE)設立、技術士法改正、PDE協議会(日本工学会)設立があり、関連学協会も活発な動きを展開している。
3.電気学会委員会による検討
 電気学会では平成11年8月に技術者教育認定制度検討委員会を発足させ、高等教育機関における技術者教育の認定と、認定のあり方を含む継続教育のあり方について検討を進めてきた。後者については委員会下部にWG3(木村軍司主査)を設置し、具体策を検討して以下の結論を得た。

 電気学会では従来から、技術者の継続的な能力開発に直結する事業を多面的に展開してきた。すなわち、大会・研究会・講習会等、会誌・論文誌・教科書等、技術委員会・調査専門委員会等の各種会合を実施してきた。外部諸機関の動きとの整合性に配慮しつつ、可及的速やかにこれらの従来から実施してきた教育機会の利用者に対し、参加記録を学会の立場で証明するサービスを提供することが必要である。

 そしてこれに引き続いて、より多様な教育機会提供の検討、受講証明に留まらず認証まで行なう必要性・可能性の検討、参加記録データ管理のあり方の検討、そしてこれらを事業として展開するための体制面・資金面の検討が必要である。この検討のためには常任の担当職員を持つ電気学会教育センター(仮称)の設置を念頭に置いた本格的組織の編成が必要と思われる。

 本委員会としてはこのたび第1項に述べたサービスを継続教育事業の第1ステップとして提案すると共に、第2ステップのあり方についてさらに検討を進めたい。後者については検討が深まり次第、別途提案することとしたい。
4.会員等へのメリット
 本事業の実施により、電気学会の社会貢献を以下の諸点で拡大できる。
  • 技術士有資格者がAPEC Engineerと相互承認されるためには3年間で150時間の継続教育が必要である。電気学会の継続事業第1ステップの実施により、その根拠となる受講証明を提供できるようになる。(社)日本技術士会との相互連携(覚書あり)にも貢献する。
  • 高等教育機関がJABEE認定申請時に必要な、ファカルティ・デベロプメント(FD)の根拠となるデータを提供できる。
  • 企業技術者は自らの能力(エンプロイアビリティ)を高める必要性が高まっている。本事業で提供されるデータはその根拠としての活用も期待できる。
5.CPD単位表
 電気学会が実施する各種継続教育事業についてのCPD単位は次の通りとする。基準は講習会に1時間参加する場合を1CPD単位として、他の教育形態では、これと比較して時間重み係数を掛けるなどして、CPD単位を決める。
  教育形態 番号 内容 時間重み係数 CPD単位
I 講習会,講演会,研究会 全国大会,部門大会,シンポジウムなどへの参加 1 講習会,講演会,研究会 全国大会,部門大会,シンポジウムなどへの参加 1 H
II 論文発表 2 全国大会,部門大会での論文発表   2(1論文)
3 研究会,シンポジウムなどでの論文発表   3(1論文)
4 査読付き論文発表(例えば,部門誌への論文発表)   40(1論文)
5 査読なし論文発表   10(1論文)
6 解説記事などの執筆(例えば,学会誌,部門誌などの解説記事執筆)   10(1件)
7 技術図書の執筆 3または原稿用紙1枚に付き1 3または枚数(1件あたり最大40)
III 各種会合への参加 8 技術委員会・調査専門委員会などの委員長,幹事,幹事補佐 2 2H
9 技術委員会・調査専門委員会などの委員 1 H
表中のHは時間を表す。
連名者(共著者)の取り扱いについて : 連名者(共著者)も、貢献度に応じてこれに準じる。 
このCPD単位に対する考え方は,将来日本PDE協議会等の統一された機関で,統一的な考え方が取り決められた場合は変更される場合がある。
6.記録用紙
 次のような表が電気学会ホームページからダウンロードできるようにする。
主催者名
教育内容(簡潔に記入)
開始年月日
終了年月日
教育分野及び形態 実時間
(hr) (1)
時間重み
係数 (2)
CPD単位
(1)×(2)
証明印
             
             
             

CPD: Continuing Professional Development JABEE: Japan Accreditation Board of Engineering Education
    (日本技術者教育認定機構)
PDE: Professional Development of Engineers

e-mail:jimkyoku@iee.or.jp
更新日 2003年4月8日
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