Q1 |
東京の23区内では,ほとんど送電線を見かけないですが,どこに隠れているのでしょうか。 |
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23区内では送電線の地中化率が91.6%(H17年度末)となっており,ほとんど地中線で送られています。 |
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Q2 |
地下にケーブルを埋めてあると,洪水のときなど停電しませんか。 |
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ケーブルは地下鉄のトンネルと同じように水が入ってこないように作った洞道というトンネルか,管路というケーブルを入れるパイプに入っています。どちらも基本的に水は入ってきませんし,また,ケーブルは水中でも安全に電気を送れるように作ってあるので洪水で停電することはありません。洪水の力が余りに大きく,設備が壊れるようなことになれば停電しますが,そのようなことはまずありません。 |
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Q3 |
送電線に光ケーブルが入っているそうですが,雷が落ちても焼き切れたりしないのでしょうか。 |
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雷の電流は大きいですが瞬間的に流れるだけなので,光ケーブルが入っている架空地線という太いアルミ線がそのために切れることは,ほとんどありません。 |
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Q4 |
外国,アメリカ,欧州などでは,1日にどの位電力が変化するのでしょうか。(夜と昼の差はどの位?) |
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昼に工場などでたくさん使われ,夜に住宅で多く使われることは共通ですが,国により地域により,また季節によって1日の変化はさまざまです。国毎のデータというのはありませんが,電力会社毎のデータは一部公開されています。他の先進国と比べて日本の夏は大変暑く,エアコンの普及率も高いので,夜と昼の差が大きくなっています。下に米国の2地域(カリフォルニアとPJMと呼ばれる東海岸地域)とノルウェイの例を東京電力と比較して示します。 |
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Q5 |
電気はなぜたくさん貯蔵できないのか |
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電気を貯めるには一旦別のエネルギーにして貯める必要があるため,たくさんの電気を貯蔵しようとすると,変換ロスによるエネルギー損失も増えてしまうからです。 |
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Q6 |
電気は貯められないという話ですが,バッテリーがあるから電気は貯められるでしょう? |
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その通り貯められます。「電気は貯められない」とよく言われるのは,安く大量に貯めておくのは困難という意味です。せっかく作った電気をバッテリーに貯めてから使うと,交流と直流の変換ロスも含め3割位が失われてしまいます。ちなみに,1日に家庭で使う電気を単3乾電池で賄おうとすると約5000本も必要になってしまいます。これではお金かかりますね。 |
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Q7 |
電気は貯められないというお話でしたが,水を電気分解して水素で貯めたりはしないんでしょうか。 |
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技術的には十分可能ですが,電気分解の効率,及び水素と酸素から燃料電池で発電する効率を考えると,損失が多くなります。水素を安全に大量貯蔵する設備も含め大規模にやるのは大変高価になってしまいます。 |
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Q8 |
直流送電と交流送電はどのように分けていますか? |
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直流送電は,交流側との間に交直変換所が必要なので,短い距離では高くつきます。同じ太さの電線,同じ電圧なら交流よりも直流の方が多くの電力を送れるので,超長距離になると,直流が有利になってきます。特に,ケーブルで送電する場合,交流では誘電体損失というものが大きくなって効率が悪いので,海峡を横断するようなケーブルでは直流が使われます。また,交流送電系統の信頼度を高めるために,一部を直流で連系する場合もあります。 |
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Q9 |
海底では直流でつなげるのはなぜ? |
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Q8の回答の通りです。 |
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Q10 |
地下直流送電はどのようなメリットがありますか? |
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Q8の回答の通りです。 |
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Q11 |
遮へい線は架空地線と同じでしょうか。 |
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同じです。 |
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Q12 |
特定電気事業と特定規模電気事業の違いは? |
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特定電気事業:特定の供給地点に発電機を置いて,その地点の需要に応じ電力の供給を行う事業。平成7年の電気事業法改正で創設された事業形態。諏訪エネルギーサービス(株),尼崎ユーティリティサービス(株)など。六本木ヒルズの電気も特定電気事業です。
特定規模電気事業(PPS:Power Producer and Supplier):国で定められた特定規模(現在は50kW以上)の需要に応じ電気の供給を行う事業。平成12年電気事業法改正で創設された事業形態。ダイヤモンドパワー(株),丸紅(株),イーレックス(株),(株)エネット,サミットエナジー(株)など。一般の電力会社以外の会社が,送電線を経由して需要家へ電気を小売するビジネスです。 |
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Q13 |
超電導送電線のケーブル材質は? |
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近年実証試験が行われたものは,導体としてビスマス系という液体窒素による冷却で超電導になる材料を使い,絶縁体にPPLPという特殊な紙を使っています。 |
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Q14 |
変電所が縮小しても,出力は変わらないのですか? |
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シンポジウムでご紹介した縮小された変電所は,それまでの大きな変電所と同等かむしろ多くの電力を扱うことができます。すごいと思いませんか!? |
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Q15 |
避雷器を通った電気はどうなるのか |
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避雷器はアース線につながってますので,電気はこのアース線を通って大地に抜けていきます。 |
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Q16 |
電磁気や,電気回路などの技術はどこで習うのか |
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大学の電気工学科など,電気系の学科で詳しく勉強できます。 |
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Q17 |
どうして電気自動車が,家庭で買える値段ではないのか |
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ガソリンの代わりに大量の電池を積む必要がありますが,リチウムイオン電池というような高性能の電池は,まだまだ高価だからです。技術開発と大量生産で早く安くなって欲しいですね。 |
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Q18 |
停電をさせない為にどんなコンピューターをどれくらい使っているのですか。 |
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数年前までは電力会社は電力系統の監視と管理をするために大きいコンピュータ(メインフレーム)を使っていましたが,コンピュータの性能がよくなったため,最近はワークステーション,サーバ,パソコンを使っています。コンピュータの数は多く,電力会社によって違いますが,中央給電指令所だけでサーバとワークステーションは20-40台位,パソコンは20台位の規模です。 |
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Q19 |
電力スポット取引のところをもう少し詳しく教えてください。 |
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発電量が余っている会社と電気が欲しい会社間で,翌日の電力をインターネットを介して入札して取引するものです。24時間を30分単位で分けた48の時間帯毎に,電気を売りたい会社は,いくらでどれだけの量を売りたいか入札します。同じく電気を買いたい会社はいくらでどれだけ買いたいか入札します。売り入札は一番安い価格から,買い入札は一番高い価格から並びます。売りと買いがクロスする点が市場価格となり,同一時間帯のすべての取引がこの価格で売買されます。詳しくは,日本卸電力取引所のホームページ(http://www.jepx.org/)をご覧下さい。 |
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Q20 |
50Hzで使用する機器を60Hzで使っても大丈夫でしょうか |
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今は多くの家電製品がどちらでも使えるようになっていますが,大きなモータを使うものや古いものは使えない場合があるので,使用説明書等で確認しましょう。 |
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Q21 |
送電線の材料 |
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高い電圧のものは,中心が鉄,周囲がアルミの鋼心アルミより線がほとんどです。 |
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Q22 |
どうして2003年にたくさん停電がおきたのか? |
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2003年の夏は,アメリカでもヨーロッパでも特別暑い年でした。暑いとエアコンなどで電気をいっぱい使いますが,発電設備や送電設備に余裕が余りない地域では,1カ所の送電線事故などがきっかけとなって,あちこちで電気が送りきれなくなり,周波数や電圧が異常になって大規模な停電が発生しました。 |
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Q23 |
昨夏の停電エリアが点在していたのは何故か |
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電気は変電所ごとに地域を分けて送られていて,その各地域は入り組んだ形をしています。事故の影響を受けた変電所から電気を送られていた地域のみが停電しましたので,停電エリアが点在していました。東から送る電気を都心の東側だけで使うようにすると,ルートを切り替えて北や西から送りにくいので,どこが停電しても復旧しやすいように入り組んだ複雑な送り方をしているんです。 |
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Q24 |
昨年の東京停電のとき,なぜ品川火力発電所まで停止してしまったのでしょうか。また,想定外の事故でしたが,今後の対策はどうなっていますか。 |
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朝,需要が急上昇する時間帯だったので,しばらくは単独で運転できましたが,需要が発電可能量を超えてしまった時点で停止しました。対策としては,クレーン船を持っている会社にルールを守るようお願いすると共に,送電線が川を横断する箇所に注意を促す表示を増やしました。また,安全のため人が確認しながら行っている復旧操作のうち,自動化して時間短縮できるものがないか検討しており,単独系統の並列操作の自動化なども検討対象になっています。 |
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Q25 |
昨年の停電について,27万ボルト2回線送電で2回線とも断線しました。 品川火力発電が運転をとりやめたとのことですが,40分程でどう復電しましたか?ルート切替以外で何がありますか? |
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品川火力単独での運転ができなくなってから,ルートを切り替えて,健全な送電線から少しずつ停電箇所に電気を送って行きました。 |
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Q26 |
東京の大停電のとき,千葉などにある発電所は止まってしまったのですか。周波数も50Hzから大きく変化したのでしょうか |
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保護装置が働き,故障した送電線を切り離したので発電所は運転を続けました。需要が急に減ったので,周波数は瞬間的に大きくなりますが,火力がそれに応じて出力を減らして50Hzに戻します。 |
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Q27 |
交通,社会施設等のバックアップは,どのくらい機能していたか,詳細などはありませんか? |
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停電の際は大変多くの非常用発電機が動いたはずですが,実態はデータが無くて分かりません。普段滅多に動かない機械なので,しっかり点検されていなかったものが動かなかったようなケースもあると思います。 |
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Q28 |
送電線はどれくらいの力まで耐えられるか |
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送電線用の電線は,それ自体太くて重いものですし,強風など大きな力が加わっても切れにくいよう中心部に綱心が使われています。詳しくは,日本電線工業会のHPや,電気学会で発行しているJEC規格をご覧下さい。ちなみに,昨夏の停電で電線は大分損傷しましたが,クレーンがぶつかった力で壊れたわけではなく,大きな故障電流が火花を伴って電線を流れたため,電線の外側のアルミ線部分の一部が火花で溶けてしまったものです。 |
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Q29 |
送っている間に電力は減るのか? |
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送電線・配電線などには抵抗があるので,電気の一部(5%弱)は熱として失われます。 |
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Q30 |
電線に鳥が止まっても感電しないのはなぜ? |
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2本の電線に同時に触るか,電線と電柱や地面に同時に触ると感電します。このため送電線の鉄塔に巣を作ったカラスなどは感電することがあります。最近の配電線はプラスチックで覆われていて,断線して地面に垂れ下がってもショートにくくなっていますが,地面に足をつけたまま触ると感電するので,絶対触らないで下さい。 |
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Q31 |
宇宙に浮かべた太陽光発電所は,いつごろ,どの位の費用からできるのでしょうか。 |
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太陽電池も高いですが,大量の太陽電池や変換器をロケットで打ち上げるのは莫大な費用がかかるので,今のところ,いつ頃いくらで実現できるか分かりません。安く実現できる画期的方法をぜひ考えて下さい。 |
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Q32 |
フランスの発電量の80%が原子力発電所と聞きましたが,これらの発電所は電気の使用量に応じて出力が変わるのでしょうか。たとえば100万kWとか10万kWとか |
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フランスでは,水力や火力のほか,原子力も出力を調整して使用量に合わせています。 |
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Q33 |
原子力発電はよく地球温暖化防止に効果があるといわれていますが,物質そのものを莫大なエネルギーに変える原子力発電によって,地球のエネルギーバランスが壊れる事はないのでしょうか。 |
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地球のエネルギーバランスは,太陽からもらう莫大なエネルギーと,宇宙に放射して失われていくエネルギーで決まるので,人間が石油やウランから変換した程度の量の熱でバランスが崩れるとは考えられません。宇宙に放射されるエネルギーを二酸化炭素などで減らしてしまうとバランスが崩れると言われているわけです。 |
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Q34 |
NAS電池の最新動向を記載した文献名を教えてください。 |
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電気評論2006年12月号「電力貯蔵用NAS電池システムとその適用動向」をご覧ください。 |
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Q35 |
現在の送電線網における電力損失は何パーセント位でしょうか?超電導送電線でDC送電が実現するとどのくらいメリットが出ると期待されるでしょうか? |
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送配電損失は、東京電力の場合で5%弱です。
超電導の応用としては、超電導ケーブルによる交流送電が一番実用化が近いと期待されています。冷却機の損失があるので、一概にロスが減るとは限りませんが、比較的細くて電圧の低いケーブルで大量の電気を送れるので、今後ケーブル等のコストダウンができれば、投入資源や工事を減らせるのではないかと期待されています。 |
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Q36 |
鉄塔間送電線の中央付近についているものは何でしょうか? |
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送電線についているおもりのようなもののことでしょうか。
名前は,「カウンタウェイト」というものです。
湿った雪が大量に降る場合、電線に付いた雪が,電線がねじれることにより筒状に大きく成長することがあります。こうなると電線を支える鉄塔に大きな力がかかってしまうので、電線のねじれを防止するためおもりをつけています。 |
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Q37 |
放射性廃棄物の半減期を短くする(半減期の短いものに変える)研究の現状はどうでしょうか |
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使用済み原子燃料等に含まれる半減期の大変長い核種を、原子炉や加速器等を利用して短半減期核種や安定核種に変換する技術について、核燃料サイクル開発機構・電力中央研究所・大学等で研究が行われています。大変重要ですが、長期間の研究が必要な技術です。かなり専門的になりますので、上記研究機関のホームページ等をご覧下さい。 |
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