電磁界生体影響問題調査特別委員会
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目 次

  1. 特別委員会設立の趣旨
  2. 報告書「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題」および関連図書
  3. シンポジウム開催案内
  4. プレス発表の内容
  5. Q&A

1.「電磁界生体影響問題調査特別委員会」設立の趣旨

 いわゆる電磁界問題,すなわち電磁界の生体影響,健康影響は,電界磁界の工学面と人体,健康の 医学面の両方に関係する問題です。工学分野の専門家でも医学の方は不案内,一方,医学に詳しい人 も電界磁界は良く分からないという場合が多いのです。まして両方に関係のない一般の人々は色々な 現象や結果を理解できないとか,誤解することがしばしば起こると思います。しかもこの問題に関す るいろいろな側面の正確な情報を得ることはこの問題に取り組んでいる人以外にとっては難しいこと です。
 そこで,この問題に関する世界におけるこれまでの研究状況を調査し,総合的な評価をするととも に,これに関する正確な情報をひろく伝えることを目的として1995年12月に本「特別委員会」 (委員長 東京理科大学 関根泰次教授)が設置されたものです。

報告書「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題」
「特別委員会」の第1期の報告書が発行されました。(1998年10月)
電気学会出版販売課で頒布しております。(4,000円+税+送料)
また,報告書の要約版として小冊子「身の周りの電磁界と人の健康への影響」(本体価格900円)も発行しております。
プレス発表
上記報告書を発行した機会にプレス発表を行ないました。(1999年1月13日)
シンポジウムの開催
一般の方に正しい情報を,分かりやすく解説することを目的としてシンポジウムを開催しております。
第5回より「電磁界の健康影響に関するシンポジウム」と改名し,1999年7月13日に広島での開催を計画しております。
Q&A
電磁界問題について,分かりやすく解説しております。

2.報告書「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題」

 報告書は,第1部 要約,第2部 電磁界の実態,第3部 生体影響の評価,からなっており,全体 で240ページです。電気学会出版販売課で頒布(4,000円+税+送料)しておりますので, ご関心のある方はお求め下さい。
 「特別委員会」は総合的な評価活動を推進出来るように,電気工学および医学の両分野の専門家に より構成され,主として環境電磁界の評価・調査を担当する「第1作業部会」と,生体への影響に関 する調査・評価を担当する「第2作業部会」が中心となって,取り纏めを行いました。
 本報告書では「特別委員会」の結論として「電磁界の実態と現状で得られた実験研究の成果をもと に評価をすれば,通常の居住環境における電磁界が人の健康に影響を与えるとはいえない」と述べて おります。
 また,報告書の要約版として小冊子「身の周りの電磁界と人の健康への影響」(本体価格900円) も発行しております。


3.「電磁界の健康影響に関するシンポジウム」開催のご案内
   一般の方に正しい情報を,分かりやすく解説することを目的としてシンポジウムを開催しております。


4.プレス発表の内容
下記内容にて,平成11年1月13日にプレス発表を行いました。

            「電磁界の人の健康への影響の問題について」

 電気学会では1995年12月に「電磁界生体影響問題調査特別委員会(委員長 関根泰次 東京理 科大学教授)」を発足させ,電磁界が人の健康に影響するかどうかについて,これまでの研究状況を 調査し,総合的に評価を行なってきた。そして,この度その「報告書(電磁界の生体影響に関する現 状評価と今後の課題,平成10年10月)」がまとまり発行された。その結論は「電磁界の実態と実 験研究で得られた成果をもとに評価をすれば,通常の居住環境における電磁界が人の健康に影響する とは言えない」というものである。
 電磁界の健康影響に関する一般の人々の不安や心配に対して,実態を正しく認証し,正確な情報に 基づく正しい理解を促進することが,電気学会の役割のひとつであるとの認識から,「特別委員会」 を組織して,検討をはじめたものである。
 委員会には電気工学および医学・生物学の両分野の専門家が参加し,総合的な評価活動が推進出来 るように配慮された。具体的な検討は,主として電気工学的側面から,身の周りの電磁界の実態につ いて調査評価する「第1作業部会(主査 宅間 董 京都大学教授)」と,主として医学的側面から, 生体に対する影響の問題を調査評価する「第2作業部会(主査 上野照剛 東京大学教授)」において 行われた。
 電磁界の健康影響の問題が話題にされるようになったのは,1979年に米国のウェルトハイマー とリーパーが磁界と小児がんに関する疫学研究の結果を発表し,配電線近傍に住む子供に白血病の発 生率が高いことを示唆し,また1992年にはスウェーデンのカロリンスカ研究所のフェイチングと アールボムが磁界と小児白血病の関連性を示唆したのがきっかけである。このような研究を疫学研究 というが,その後も,欧米から多くの発表がされており,電磁界と人の健康との関連性を示唆する報 告も見られる。今回それらの報告を調査,評価したが,殆どの報告が統計的に有意ではなく,また磁 界への曝露の実態が不明であることや,症例数が少なく,統計的精度が低い,結果に一貫性がないな どの問題がある。
 疫学研究というのは,人の病気と,その発生に関係する可能性のある要因との関連性を,統計学的 に調査するものである。具体的には病気の発生に影響すると想定される要因(環境などの条件)に差 がある複数の集団の間で,病気の発生に差があるかどうかを調査し,統計学的に偶然起こり得る以上 の差が出るかどうか(有意であるかどうか)ということを評価して,要因と病気の関係を推測すると いうものである。病気に関する研究を人体を用いて行なうことは難しい現状において,疫学研究が貴 重な情報を提供しているといえるが,しかし,実際に生活している人間のおかれている環境条件は非 常に複雑多岐であり,長期間にわたって,ある特定の要因だけに差がある集団を設定することは,実 際上は不可能なことである。従って,疫学研究だけでは因果関係を確定することは出来ないというこ とが指摘されなくてはならない。疫学研究が示唆した内容は,他の実験的研究によって因果関係が確 認され,一致をみて,始めて意味のある結果となるのである。
 そこで実験的研究の結果はどうかということになるが,世界各所でさまざまな研究がなされている。 研究は細胞・分子レベルの研究から,動物レベルの実験まで幅広く,また対象となる現象も発ガン, 生殖・発育機能,神経系への影響など多面的になされている。多くの研究者が疫学研究で指摘された 課題が,本当に存在するかということで,再現研究に取り組んでいる。今回の調査では,1991年 以降1998年始め頃までに公表された学術論文を中心に調査をした結果,再現された事例がないと いうのが事実である。即ち,通常の環境電磁界が人の健康に影響をするという結果は得られていない。
 なお,この問題について多くの研究が現在も世界各地で行われてるので,電気学会としても引き続 き,調査・評価活動を続けている。
 上記「報告書」は電気学会事務局より実費で頒布(4,000円+税+送料)されている。また, この問題について,一般の方を対象に分かり易く解説する「シンポジウム」を継続開催しており,第 4回を平成11年1月29日に名古屋で開催する予定である。
(開催案内は電気学会ホームページ http://www.iee.or.jp参照)
  本件担当窓口   社団法人 電気学会 専務理事 中丸 修
  〒102-0076 東京都千代田区五番町6-2 HOMAT HORIZON ビル8F
  Tel 03-3221-7256,Fax 03-3221-3704

                平成11年1月
社団法人 電気学会

5.Q&A

 電磁界問題について以下のように4つのカテゴリからなるQ&A(質問と回答)を作りました。
 できるだけ分かり易く記述したつもりですが,分かり易く説明することと学問的に厳密に記述する ことが両立しないこともあります。これからも正しい知識や情報を分かり易く説明する努力を続ける つもりです。

イ.電磁界の性質,特性など
ロ.電磁環境,電磁界測定など
ハ.商用周波の電磁界と健康
ニ.規制,情報
 

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